目次
第二子、娘が生まれる
息子が4歳の時、娘が生まれた。
第一子の息子の時は里帰りしてぬくぬくと新生児育児をしたものだが、息子がいる今、私だけ里帰りと言っていられない。
夫婦で協力して、新生児期を乗り越えなければならない。
私は夫に「できれば育休を取ってほしい。最低3週間は取ってほしい」とお願いした。
夫はホワイト企業(のはず)に勤めていて、しっかりそのような制度がある。私は夫と社内恋愛で結婚したので、実際に男性が育休をとったカップルを数組見ている。2週間という短い期間だったり1年と長期だったり期間は様々だが、大体取っている。
しかし夫は取ってくれなかった。理由は、大なり小なり出世に響くからだそうだ。えぇ…ホワイト企業と思っていたのだが、、男の率が多い古い会社なので、否定もできない。
夫「できるだけ協力するから」
とのことで、3週間だけは毎日テレワークにして家にいて、朝食作りや洗濯・息子の送り迎えを担当してくれた。
それから週1で持たせなければならない息子の幼稚園のお弁当は夫が用意してくれたし、オムツ換えやお風呂も、お願いすれば文句なくこなしてくれた。
最初は育休を取ってくれない夫に不満たらたらの私だったが、産後三週間すぎる頃、そう不満にも思わなくなっていた。
そんな頃、驚愕の事実に気づいてしまった。
娘は生まれながらに首が座りかけていた
新生児は重たい頭を支えることができず、ぐらんぐらんなのが通常である。
のはずなのだが…娘は何故か、生まれながらにして割と首がしっかりしていた。
頭が小さかったことも要因の一つかもしれないが、生まれてすぐから自分で向きたい方向に首を傾けることができたのである。
新生児について調べれば、首が座るのは2−3ヶ月頃と、それは親になるなら当たり前の知識だ。首が座る、その時までは、大事に大人が首に手を添えて抱っこしたり寝かせたりするのである。
「首がしっかりしてるね〜」と言いながらも、私も抱っこや寝かせるときは大事に首に手を添えていた。
夫もそうだろうと思っていたし、沐浴なども、夫が首を支えながら洗っているのを間近で見ていたので心配していなかったのだが。
息子と違って、泣き声が大きい&よく泣く娘
先の話で、息子の泣き声は控えめであまり泣かなかった、と書いたが、娘は真逆で、生まれてすぐから声はめちゃくちゃ大きいし、ちょっとしたことですぐ泣いた。
でもそれが赤ちゃんの普通であり、あまり泣かず声が小さい息子が育てやすかっただけのことである。
そんな娘の新生児育児中、私のリラックスタイムはシャワーであった。(産後1ヶ月は衛生上シャワーのみと病院から決められていた)
夫に預けて一人でシャワーを浴びる至福のひととき。
しかも、私がシャワーで見えなくなっても娘は全く泣かないのである。一言くらい泣き声が聞こえることがあっても、すぐ泣き止むのか、声があまりしない。
きっとお母さんがいると逆に甘えが出て泣きたくもなるのだろう、私がいない方が泣かないのだ…なんて思っていた。
驚愕の事実を知る、その時までは。
新生児の娘は泣けない状態にあった
新生児ももう終わりという頃、お風呂からあがって脱衣所で着替えていると、突然火がついたように娘が大泣きする声が聞こえた。
「何事??!!」
私がバンとドアを開けると、クッションの上にうつ伏せになって泣きじゃくる娘(※新生児)がいた。そのすぐ横に夫と、ニコニコの息子。
「なんでうつ伏せなの?!乳児突然死症候群とか、うつ伏せよくないって言ってるでしょ?!しかもどうしてこんなに泣いているの?!」
息子がニコニコ言う。
息子「お父さんが落としちゃったの」
私「はあ?落としたってどういうこと?!」
夫「落としてないよ、クッションに着地しただけ」
私「意味が!!わからない!!」
息子「お父さんが手でね、赤ちゃんを持ってね、くるくるして、落ちた」
息子が父を真似たのかジェスチャーをした。それを見て夫が付け加える。
夫「こうやって、(娘)ちゃんをね、手のひらに座らせて、落ちないようにバランスとってるとね、その間泣きやむんだよ。でも今日はバランス崩しちゃった…だけどクッション引いてる から大丈夫。今回はバレちゃったけど、基本うまくいってた」
私「は…はあ?????」
これを読んでいる方は訳がわからないので図解で説明したいところだが、首が座りかけているからか(でも腰は座っていないはず…)、その娘を手のひらに座らせて、倒れないようにバランスを取る遊びをしていたようだった。私の知らないところで、今の今までずっと。
事の重大性を理解していない息子は遊びと思って楽しくニコニコ。
娘はびっくりして(恐怖かもしれない)、泣き声を出せなかっただけ、しかもバランス崩したらクッションに落とされて。それでギャン泣きという訳。
私がシャワーを浴びている間の子守りは、恐怖のバランス虐待で泣いていなかった、という事実に気づき、顔面蒼白。
めちゃくちゃ怒って、夫にもう2度とやらないように強く伝えた。息子にも赤ちゃんの首と頭がどれだけ繊細かということと、だからお父さんがしていることは絶対にしてはいけないことだと口を酸っぱくして言った。4歳息子にどれだけ響くかわからなかったが。
その後
3歳の時の息子へのつねりも言えばやらなくなったし、それからきっと夫はやってないはず。
…だし、そもそも鍛えているわけでもないサラリーマンが、片手に赤ちゃんをのせられるのも重さ的に新生児が限界だろう。。
そういうわけで側から見たら優しい夫、夫婦間の喧嘩もない夫。だけど育児への無知さ・思いやりがないことで虐待となっていたこと。こういうこともあるのだと、今後のために記録しておく。
いずれ息子が大人になった時、もしくは大人になろうと成長するとき、父親がこんなことをしていた・あなたはどうか育児に対して無知でいないように、強く話したい。
前編の冒頭でリンクした虐待事件、読んだ時『もしやうちの夫みたいに無知で(どうしょーもない馬鹿で)、普通の人なら赤ちゃんにしないことを、男友達みたいに思って、やってしまったのではないか?』と一瞬思ってしまった。
うちの夫だって落とし所が悪ければ、娘を結果的に殺していたかもしれない。死ななかったから事件になっていないだけで。きっとこの期に及んで、あの時死ぬ可能性があったとは思ってないだろうからね、夫は。あのくらいでうるせーんだよ、と思ってそう。
絶対に許されることではない。けど、たまに信じられないことを男親はするのも確か。
だから油断ならない、肝に銘じて。
優しくても訳のわからないことを、する。