娘の乳糖不耐症の話が終わっていない間に自分の抜歯の話を挟んで申し訳ないが、話が新鮮なうちに書き記しておこうと思う。
2日前、私は抜歯をした。
それは10代の頃から寝かせていた、横倒しで生えてきた下の親知らずだ。
なぜ寝かせていたか。それはまあずっと逃げ続けてきたのだ。
その親知らずをこの度、抜くことになった。隣の歯に悪い影響を及ぼしてる可能性があったためだ。
目次
歯の自分史
私は顎が小さい割に歯が大きい方。なのに親知らずはばっちり上下4本生えてきた。
歯並びは悪く、中学生から高校生にかけて矯正をした。
親知らずはどれも生えかけだったので、ひとまず様子見で、永久歯である小臼歯を上下4本抜いた。
それでも親知らずが生えてきたら歯並びに影響する可能性があったので「抜く必要があるだろうね」と歯科医に言われ続けていた。
それもあって、虫歯治療などでレントゲンを撮るたびに「そろそろ抜く?」「まあこの程度だったら虫歯になったのをきっかけに抜くのもありかな」と様子を見ていた。
その中でも一番遅くに生えてきたのが、今回抜いた右下の親知らずである。
右下の親知らずは厄介だった
まだ生えていない、歯茎に埋もれて生えるのを待っている状態から、横倒しで生えてくるのがわかっていた右下の親知らず。
歯科医「この親知らずはねえ・・抜くの大変かもね、横倒しだから」
歯科医「今抜いてしまうのが、矯正にも影響がなくて良いかもしれないけど、まあまだ生えてきてないから歯茎を切開してとることになるよね」
素晴らしいインフォームドコンセントだった。
けど、10代の私はその事実に、素直に心底怯えていた。
そのことにかかりつけの歯科医は気づいたようで、
歯科医「まあでも歯並びに影響がなかったら、抜かないでいてもいいかもね?横倒しになっている分、相当虫歯にはなりやすいけどね。」
歯科医「どちらにせよ、早く抜こうが遅く抜こうが、歯茎は切開することになると思うよ。だから抜こうって自分で思えた時に抜けばいいんじゃないかな」
歯科医「次回、来た時に抜くかどうかまた聞かせてよ」
とのこと。
だったら、今は抜かなくてもいいや!!
と逃げる10代の私なのだった。(その後その歯医者に顔を出すことはしばしなかった)
それから10年近くの月日が流れ…
あの時小さかった右下の親知らずの卵は、立派な横倒れの親知らずとして生えていた。
ただ、歯並びにはギリギリ影響していなかった。
そんな中、別の歯の痛みでかかりつけの歯医者に行くと
歯科医「右下の親知らず、虫歯になっちゃったね。どうする、治療する?」
とのことで、過去の歯科医の予言通りに虫歯になってしまっていた。私は思った。
『まだ抜きとうない…』
頷くと
歯科医「だよね。じゃあ今回は治療するね。」
歯科医「それに、この歯は大学病院でしか抜けないな。顎の動脈近くに歯の根っこがきてるから。抜いてうっかり傷つけたら大事だからね」
歯科医「抜きたくなったら、紹介状書くから言ってね」
そうして…私は紹介状をかかりつけにお願いすることはなかった。
大学病院で手術のような抜歯をしなきゃいけないなんて…虫歯でもないのに…
いま痛くないのに自分から痛いことしなきゃいけないのなんて嫌だわ…
浅はかな20代の私はまた横倒しの親知らずの抜歯を先延ばしにしたのだった。